停留精巣外科的整復手術のご案内
- 2025.07.24
- INFORMATION
停留精巣外科的整復手術のご案内
― 多様な選択肢に応える高度外科手術 ―
■ 停留精巣(陰睾)とは?
通常、犬の精巣は生後間もなく陰嚢内に降りてきます。
しかし鼠径部や腹腔内に留まってしまう先天的異常があり、これを「停留精巣」と呼びます。
■ 一般的な対応:去勢手術
停留精巣は腫瘍化のリスクが非常に高いため、獣医学的には摘出(去勢)手術が第一選択とされています。
当院でも基本的には早期の摘出手術を推奨しております。
■ 整復手術(陰嚢内誘導術)とは?
多様化した近年では飼い主様のご希望により、人間の子供さんと同じように精巣を陰嚢内に誘導して固定する整復手術を希望される方も増えています。
当院では医学的・倫理的なリスクを充分に説明のうえ、整復手術(2007年に私が開発・発表済)にも対応しております。現在国内でこの治療が可能な施設は非常に限られています。
■ 整復手術の対象と流れ
✅ 対象:片側停留精巣でもう片側が正常な位置にある犬
✅ 手術回数:
- 鼠径部 → 1〜2回
- 腹腔内 → 2〜3回
■ 費用の目安
| 停留部位 | 手術回数 | 総費用(税別) |
| 鼠径部 | 1~2回 | 300,000円 |
| 腹腔内 | 2~3回 | 500,000円 |
※術前検査・麻酔・手術・術後管理を含みます
※術後の経過観察は別途再診料がかかります
■ よくあるご質問(Q&A)
整復すれば腫瘍のリスクは下がりますか?
A.犬においては明確な科学的根拠はありません。ただし、人医療では早期手術によるリスク軽減の報告もあり、犬でも今後の研究が期待されています。
繁殖は可能ですか?
A. 片側が正常であれば、繁殖能力は一般的に保たれています。 ただし、遺伝性の可能性があるため慎重な判断が必要です。
手術は必ず成功しますか?
A.稀に血流阻害による睾丸壊死を引き起こす場合もあります。その場合は摘出手術となります。
■ 当院の姿勢
- 本手術はあくまで希望者限定・インフォームドコンセント重視で実施しています。
