周術期口腔機能管理
- 2020.06.27
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よく飼い主さんから言われる言葉に
「先生、手術のついでに歯石取ってあげてよ」
獣医さんあるあるです。
人の医療に於いては通常「歯石除去や歯周病治療」と「外科手術」や「抗がん剤治療」が同時に行われる事はありません。
理由は口腔内はとても細菌が多い場所となり「無菌的な治療」が出来ない部位となり、その治療中は周囲に細菌を散在させます。
それ故に歯科処置と無菌的な治療が必要な外科手術や抗がん治療などが同時に行われる事はありません。
「周術期口腔機能管理」と呼ばれ、細菌感染による術後の合併症を予防する目的で外科手術や抗がん剤治療が行われる際には歯石除去や歯周病治療が優先されてます。
お口の中の細菌を減らしておく事で術後肺炎や傷口が感染を引き起こすリスクを軽減させる事が出来ます。
一方動物に於いてはどうでしょうか?
人以上に重篤なケースが多いワンちゃんや猫ちゃんの歯周病、加えて傷口を舐めたりする事のある動物に於いて「感染症である歯周病」の観点からも上記の考え方は当てはまります。
また時間的な観点からも歯科処置と外科手術などを同時に行う事は勧められません。
通常歯のスケーリング処置だけでも全身麻酔下で1時間を要します。
歯科処置を優先するのか外科処置を優先するのかは充分に考慮する必要があります。